大いなる休暇@京都シネマ

「亀は〜」もこれも今日が最終日なので、2本見ることに。

カナダの映画ということは知っていたけど、ケベックの映画だということは知らなかった。確かにこれは、英語の映画というよりはフランス語の似合う映画だと思った。

舞台はサントマリ・ラ・モデルヌという島。ずっと島の生活の根幹を為していた漁業が廃れ、今では生産手段もなく過疎化が進む「無医島」。島民は皆生活保護に頼って暮らしている。工場建設の話が持ち上がるが、「医者がいること」が条件。

そんな折、スピード違反で捕まった1人の若い医者。麻薬所持まで露見するが、警官がサントマリ島から移住した元町長だったために、色んな「大人の事情」で、1ヵ月だけ島に来ることになる。

そして、その1ヵ月で医者に島を気に入らせて5年間の契約を結んでもらう為に、島ぐるみで大掛かりな芝居を打つ島民達。

都会の人間はクリケットが好きだと予想して、インターネットの資料だけを頼りにちぐはぐなゲームをしてみたり、宿舎に盗聴機を仕掛けて恋人や友人との電話の一言一句に聞耳を立てて情報を得てみたり(また盗聴係のおばあちゃん達のカワイイこと)、お金が大好きな銀行員が毎晩医者の帰り道に紙幣を「落として」おいたり、彼が父親を知らないと知って、町長ジェルマンが「息子が生きていれば君と同じくらいだ」とか淋しげに言って見たり、釣りの下手な医者の為に海に潜って彼の釣り針に凍った巨大な魚を引っ掛けてみたり、それはもうあの手この手で必死に医者が留まりたくなるよう仕向ける。そして、その甲斐あって医者も島に馴染み始める。

ある時、医者は恋人と親友が3年前から関係を持っていることを知って、自ら島に残ることを申し出るが、「この島には様々な『真実』がある」という医者の言葉に、町長は、別の医者と契約したと嘘をついて断ってしまう。

最後には今までの嘘も露見するが、島の「真実」の現状を包み隠さず告白した町長に、医者は、「島の医者」となることを承諾して、工場誘致にも成功して、めでたしめでたし。

っていう話。扱っている話題は現代的でシビアなものだけど、島の人達がものすごく軽やかで素敵。とくに女性達が。

一方で、最終的に医者が島民達の「ウソ」を許すから救われるけど、恋人と親友の裏切りを知ったばかりの医者が、心を許し始めていた島民達にまで嘘を吐かれていたと知った時の心境はいかばかりだったかと考えると、無条件に良かったなぁとは思えない。「罪のない嘘」というのは、吐く方ではなく受け取る方次第で成立するものなのかもしれないとも思った。