妖怪大戦争
見てきました。
SF怪獣もの、もしくはヒーローものに「妖怪」の要素が加わった、子ども向けの娯楽映画として見ることももちろん可能だけれど、それにしては「妖怪大戦争」というタイトルにも拘らず妖怪たちは川太郎と川姫を除いてほとんど「戦って」いないことや、肝心の敵ボス・加藤*1との決着があまりにもあっけない*2ことがものすごく目に付く。良いとか悪いとかではなく。
つまり、それが「妖怪」というものなのかなぁと思った。「妖怪」が「戦う」というのは確かにイメージにはないし、「東京がエライ事になっているらしい」というのが伝言ゲームの要領でいつの間にか「東京でエライ祭りがあるらしい」となってしまって日本中から妖怪がわんさか大終結したり、機械と合体させられた妖怪たちが自分たちを襲ってくるのにも、「喧嘩祭りだぁ!」となって楽しくやってしまったり、という。
プロデュースチーム「怪」も総出演だし。宮部みゆきだけ先生役なのが面白い。
とにかく、妖怪の体現具合がすごい。川太郎@阿部サダヲは、半分くらいまで気付かなかったくらいの仕上がり。猩猩@近藤正臣とか、油すまし@竹中直人とか、ぬらりひょん@忌野清志郎とか、豆腐小僧@蛍原とか、ほとんど素顔にも関わらずものすごく「妖怪っぽい」人たちもいるけど。
クライマックスシーンには数え切れないくらいの妖怪たちが登場するのだけれど、エンドロールにひとつひとつある程度まで名前が付いていて、「その他の妖怪の皆さん」となっていて、さすが。鬼太郎と京極夏彦の諸々の小説へのオマージュもたんまり。
川姫が言った「復讐するのは人間の証。私はそんなに穢れたくない。だから、人を救い、人を愛す。」というのが非常に心に残っている。川姫役の役者さんが芯の強さを感じさせて、良かった。彼女をどこかで見たことがあるはずなのだが、エンディングロールの名前を見てもぴんと来なかった。
それから、水木しげるが言っていた「戦争はいかんですよ。勝っても負けても。」というのは、大先生が言うだけ強いメッセージ性を持っていたと思う。
あと、ただしのおじいちゃん@菅原文太が素晴らしかった。