「災害ユートピア」

というのがあって、以前宗教学系の授業で聞いた話だけど、例えば阪神大震災などの時によく聞かれた「地域のみんなで助け合って辛い避難所生活を乗り切った」話みたいに、災害による極限状態でむしろ精神的には前向きになって、なんとなくほのぼのした心地よさや連帯感のようなものを感じることを指す。

ハリケーンのニュースを見ながら、それは「一億総中流」とか言われて久しい日本だけの現象なのかなぁと思った。ニューオリンズではむしろ治安が悪化しているという。

右隣りにも左隣りにも、そんなに大きく環境の違わない人が住んでいてこそ発生しうる思想なのか、だとしたら少し虚しいような気がした。

裏を返せば、人間の些細な精神的効果を凌駕してしまうような状況に、今のアメリカ社会はあるのかもしれない。