青春8きっぷナイト@みなみ会館

日本のロックが果たして本当に「ロック」か、なんて問いを立てること自体がもう今は無効化してるというか、洋楽のことは知らないけど、日本ではロックもポップスも一緒くたで、とりあえずバンドで生演奏でジャカジャーンみたいにしてればロックじゃん、みたいな状況で、「ロック」フェスにミュールやらピンヒールやら履いて来てステージに黄色い歓声送ってる人もいる。個人的にはそれがことさら悪いとか言うつもりも、純粋な「ロック」ファンを気取るつもりもないし(でもフェスにはスニーカーで来てくれ)、ロックでもポップスでも、好きなものは好きなのだけれど。
「ロック」をやる、という意志をもって、でもそれを真っ直ぐ追い掛けきれない葛藤とか、中流家庭出身ということへのコンプレックスとか、かなりリアル。
テレビの生放送でそうゆう色々をぶつけちゃうところの峯田さんは非常に格好よろしかった。生放送で歌ってる、というか叫んでる時の顔は素っぽかったけれど。
だから、ああいうある意味安易な「めでたしめでたし」的な結末に落ち着いてほしくはなかったかな。充分面白かったけれども。

麻生久美子が峯田さんを「君」と呼ぶのが、多少違和感ありつつ、かなりツボだった。

浅野忠信やらピエール瀧やら大杉漣やらの使い方が最高に無駄、かつはまっていて素敵。

大森南朋を近頃よく見る。

眼鏡をかけた峯田和伸は、どことなく岸田繁に似ていた。最初岸田さんにオファーがいったというのも頷ける感じ。

リアル、ということでいったらこの上なくリアル。バンジージャンプでゴムが切れるとか、なのに無事とか、冬なのに女の子が泳いでるとか、いきなり砂浜を走ってくるとか、細かいところはなかなかにシュールだけれど。

とりあえず知り合い、という間柄の微妙さがすごく出ていた。こたつに入ってぼーっと見たいタイプの映画だった。

木下さんが小学生の時同じ通学団だった近所のお兄さんに似ていた。というか、誰の周りにも一人はいる顔だと思う。

明らかに民家、な宿で、夜中に二人が交わしていた会話がとても自然で笑えた。

映画の中で流れている時間のペースが非常に好みの速度。普通、としかいいようがないのだけれど、“つくりごと”の中の、ここまでの普通さは、「日常の中の普遍」ぐらい奇跡的な感じもする。