初夏の大和路見仏ツアー その1

2泊3日で奈良。

初日は友人と近鉄奈良駅前の「行基さん」に集合して、まず興福寺へ。
目的の国宝館へ行く前に、ちょうど開扉期間だった北円堂で運慶一門による弥勒如来と無著・世親像を見る。八角堂の中にところ狭しと5体の仏。弥勒如来後方にいた無著・世親は、正面からだと柱が被ったりしてなかなか見るのに適したアングルがなかったけど、所謂「味のある」顔をしていた。ぱっと見情けなさそうなんだけど、一周してくるとまた印象が違うような。

北円堂を出てから国宝館へ向かい、仏頭*1やら阿吽やら八部衆*2やら千手観音やらを見て徐々にテンションを上げつつ(それにつけてもこっちの感覚が麻痺するくらいに国宝だの重文だので溢れかえっていた)、個人的に今回の奈良行きにおけるメインの1つ、天灯鬼・竜灯鬼を、友人と2人して、にやけながらじろじろ見る。
大変に愛嬌のある、いわば邪鬼界のアイドル。
もともとあちこちの邪鬼たちの見事な踏まれっぷりに注目してしまう質なので、四天王に踏まれることなく、いっちょ前に灯籠を持たせてもらっている彼らを見るのは、ちょっとくすぐったいと言うか、微笑ましいくらいである。勝手に保護者の心境。

国宝館の出口で天灯鬼・竜灯鬼のクリアファイル(!)とそれぞれのポストカードを買って、いい気分で興福寺を出た。


それからご飯を食べたり鹿を冷やかしたりして、東大寺までのそのそ歩く。と、何ともすごい人手だった。みうらじゅんが見たら「いとうさん!流行ってるよダイブツ!」とかいいそうなくらいの。どこの縁日かっていうくらいの。
と思ったら、聖武天皇の千何年祭とかで、あれこれイベントがあったらしく*3、大仏殿前にはステージが設営されていて、境内がブロックに仕切られていて、ギター持った兄ちゃんがいて、そのうちマイクテストなんか始まっちゃって、それはもうダイブツ・ロック・フェスティバルとでも言い出しそうな、異様な雰囲気だった。
大仏殿内も物凄い人の山で、大仏の鼻の穴と同じ大きさという柱の穴をくぐるのに子供たちの列が出来ていたりして、結構な繁盛ぶりであった。
これはこれで非日常で面白かった。

本当は三月堂の仏も見たかったところだったけれど、興福寺ではしゃぎ過ぎたせいで時間がなくなったので、奈良公園を適当に散策したりおみやげ屋さんを流したりしたあと、2日間泊めてもらう友人宅に向かって今日は終了。

*1:見仏記 (角川文庫)』読んで以来本当に加藤登紀子にしか見えない。特に正面アングル。

*2:阿修羅もいいけど、竜の心細げな、困り果てたような顔にぐっと来た

*3:私が行った翌日にはゴダイゴが来て歌ったらしい