河岸忘日抄/堀江敏幸

再読。

河岸忘日抄

河岸忘日抄

ためらいは、断ち切られるためにある。吹っ切れる、吹っ切れないとは、そういうときに好んで用いられる簡便な言いまわしなのであって、たぶんそれは、守るべきほんとうのなにかを外圧によって放棄してしまうことに似ている。ためらいつづけることの、なんという贅沢。
(54頁)

吹っ切らないことが、最良の吹っ切り方になる。そんなふうに言い聞かせるのが、きみの理想とする内爆ではないでしょうか?
(310頁)