雨月物語

雨月物語 [VHS]

雨月物語 [VHS]

友達がゼミでとりあげるらしくて、ビデオを持っているというから、家に遊びに行ったついでに鑑賞会。

溝口健二」という名前は、それこそ日本史の現代文化史のところにも出てくるくらいだから知っていたけれど、作品はひとつも見たことがなかった。

上田秋成雨月物語は昔いくつか現代語訳で読んだことがあるけど、その淡々とした雰囲気よりは、幾分「救い」があるような感じ。それから描かれるテーマというか、構造的には非常に「現代」的な部分がある。

友人の受け売りをすれば、製作当時(1953年)の時代的なエートスも影響しているというし。そう言われると確かに反戦的で、ヒューマニスティックで、(政治的な意味ではなく)フェミニスティックだと思う。
源十郎と宮木夫妻も、藤兵衛と阿濱夫妻も、「立身を夢見る夫と分別ある妻」という組み合わせで、「女の強さ」的なものが強調されていて、面白い。


「救い」がある、と書いたけれど、それはほとんど、原作にはない藤兵衛と阿濱夫妻の(というか主に藤兵衛の)一種のコミカルさによるのだろう。うん。

あとは、京マチ子にびっくり。本当に綺麗な人だったんだ、という感じ。さらに特筆すべきは今の時代劇ではまずお目にかかれない時代考証のなされた眉の描き方。良いと思う。

友人いわく、その「美しい娘」としての若狭姫(京マチ子)と、「家庭を守る妻」としての宮木(田中絹代)を対比させて、最終的に「妻」の方を源十郎に選ばせることによって、「家族」とか「家族愛」を奨励した、というのがいわゆる「教科書」的解釈であるらしい。

友人はもうちょっと「意地悪な」観点からみたいと言っていた。
部外者としてはただ単に楽しかったのでよいけれど、普段白黒の映像を長時間見ることがないので、ものすごく眼精疲労